本当のプロフェッショナルは「言葉の使い方」をわかっている
証券マンをはじめとして多くのセールスの方と接することは多いですが、一流の方とそうでない方は「話の仕方=言葉の使い方」で割と直ぐに見分けがつきます。
完全な知識を持っている人なんてなかなかいるわけがありません。得意分野、不得意分野は誰しもがあることです。しかしながら、
どこかで自分に自信の無い方は、
自ら率先して多くを語ろうとするし、こちら側のニーズを把握しようとせずに、規定路線の流れに沿って、専門用語を乱発し、まくし立てるような話をされる方が多いです。
これらは結果を急いだり、プロとして見せたいという思いもあるのでしょうが根本的には、自分自身の自信の無さ、焦りから来るものと感じています。
しかしプロフェッショナルな方は、
この真逆の方が多い。多くを語らず、相手の知識のレベルを把握しながら臨機応変な対応をし、話し方もゆったりされている。当然、専門用語は控え目に噛み砕いて説明をされる。最終的には押し売りされたような印象を残さずに、相手が自ら意思決定をされるように誘導する。
また、自信の無い方は、「・・・だけど頑張りますので。」のような半分逃げるような言い回しをされ、安易な「頑張ります」の連発。これらは上手くいかなかった時のリスクヘッジなのでしょうが、プロフェッショナルな方はこのような言い回しをされません。
ここでいうリスクヘッジとは、証券マンのいうリスク説明のことではないです。自分の提案がうまくいかなかった時の言い訳を最初にしているという意味合いです。このような本気度がない提案はなかなか受け入れてもらえないでしょう。
営業でなくても、例えば人事異動の着任後の挨拶で、
「右も左もわかりませんが、一日も早く皆様のお役に立てるように頑張ります」
という言葉よく聞きませんか。
これはまだ来たばかりで何も出来ないからすぐには期待しないでね、という逃げの姿勢です。定番ワードなのでこの場の言葉で仕事の良し悪しを判断するわけではないですが、プロフェッショナルの方はこんな言い方はされないでしょう。
本当のプロフェッショナルは、言葉の使い方を理解されています。
プロアスリートの方を見たらわかりやすいです。
例えば、
サッカー:本田圭祐選手
2010年のW杯の後にインタビューではこんなことを仰っていました。
言葉を口で発するときは、自分に向かって話している部分がある。何を言うかって非常に重要。俺はメディアにしゃべっていることって、自分に話しているということがほとんどやから。あとは公言的なところがあって、「言っちゃったよ」みたいな。自分は弱いからさ。当たり前だけど、人間やから
言葉を発することで自分を鼓舞し、追い込み、達成へ向けての努力につなげ、自分を成長させるという最強のサイクルを本田選手は意識されていますよね。そしてその強さや成長が自信となって更にそのサイクルを加速させているようにも映ります。
野球:松井秀喜選手
著書「不動心」にはこんな言葉がありました。
僕は決して気持ちの切り替えがうまい方だと思いません。
しかし、ルールを1つ決めています。それは安易に口を出さないことです。
不思議なもので、言葉として口に出すと、気持ちがエスカレートしてしまう気がするのです。たとえば、「あのカーブに手を出すんじゃなかった」という思いを口にしてしまうと、もうその思いから離れられなくなってしまいます。
一見するとこちらは後ろ向きに聞こえてしまいますが、実は先ほどの本田選手の言葉と同じことを表しています。それは、二人とも共通して自分の発する言葉を気をつけているということです。
そして一番の気付きは、
言葉は自分の意識や思考を変化させて行動を激変させる破壊力があるということ。
一流アスリートと呼ばれる人はほとんど自分に対して卑下するような言葉を発しません。ポジティブであるし、あまり余計なことを言わない。これはプロフェッショナリズムの一つなのだと思いますし、これはアスリートに限った話ではなく、ビジネスの世界でも同じです。
大きなことを言って行動が伴なわない人はただの「ビッグマウス」となり、信頼を失ってしまいますが、プロフェッショナルは有言実行へ向けて努力が出来る人なのです。そしてその努力がまた自分を高め自信を深める。この理想のサイクルが人をプロフェッショナルへと導くのだと思います。そしてそういう方こそ信頼ができる。
自分を卑下する言葉や、言い訳、話し方は、結果に対して不安な自分自身の心の安定剤のような働きをするのかもしれませんが、決してそれは自分の成長には結びつかないことを認識しておかなければいけません。
そして反対に「言葉の使い方」で、自分を成長させることが出来るという理解も必要なのだと思います。
では今日はこの辺で。