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僕はおまえのことなんとも思ってい・な・い・で・す。DEATH!な「BOND(債券)」市場

今日はおそらく今の証券マンがきっと一番無関心だと思われる分野。

ぼ(B)くは、お(O)まえのこと、な(N)んとも思ってい・な・い・で(D)・す。」

そう、DEATH!な「BOND」の話です。

 

BONDとは略語でなく普通に英単語ですからね。日本語でいう「債券」です。あと一般の方でよく「債券」と「債権」を間違える方いらっしゃいますけれど、似ているようで違いますので。さすがに証券マンは大丈夫ですね。「債権」は財産権で債務者に対して給付等を求めることができる権利で債権者がもっているもの。

 

「債券」とは有価証券ですね。国、地方自治体や企業等が資金を調達するために発行するもので国が発行するのは「国債」、地方自治体が発行するのは「地方債」、企業が発行するものを「社債」といいますね。種類はもっといっぱいありますがさすがに証券マンはご存じと思うので割愛します。

 

やや話がずれますが、コロナ発生以降、テレビでややかじりのコメンテーターや、ともすれば業界の専門家の方までも「実態経済と株価がかい離している!これはバブルだ!」なんて言葉が飛び交います。私はこれを聞くと「また言っているよ。」と苦笑してしまいます。その一番の理由は株価というのは実態経済と一致するわけないのです。常に先へ先へと目を向けるからです。コロナは一時的なパンデミックでワクチンや対応法が浸透していずれ沈静化します。株価というのはその先を見ますし、企業価値を計算する上ではその一時的な凹みは株価に大したマイナス影響を与えませんから(これはもう少し進んでから改めてやりますね。)。まあコロナの影響で自粛が5年も10年も続くのであればそれは本当にバブルかもしれませんけれども。

 

そんな方々に言いたい。

『今一番のバブルといえるのは「株式市場」ではなくまさに「債券市場」だよ』と。

 

債券の王様は「国債」です。一番安心で一番金利が低いのが国債。国債の金利に上乗せ(スプレッド)が乗って流通されるのが地方債や社債です。発行体(債券を発行する主体)の信用力の低ければ低いほどスプレッドは上乗せされていきます。

 

その王様である国債の金利は中央銀行による「金融政策」の影響を大きく受けます。

 

その昔は金融政策と言えば経済の波に対して「公定歩合(説明は割愛)」を変動させて調整してきましたから短期金利へ与える影響が大きかったです。しかし公定歩合を下げても深刻なデフレが克服されず、景気への刺激が与えられないのではじまったのが量的緩和という金融政策です。

眠くなる話だと思うので簡単に言うと、銀行等の金融機関から国債等を買い取ってしまい銀行を通じて世の中に出回るお金を増やそうとするものですね。

 

そして2013年にアベノミクスがはじまります。大胆な金融政策、安倍首相・黒田日銀総裁のアベクロコンビがこの金融緩和を格段にレベルアップさせました。

今までとは比較にならないほどの量を日銀が買って世の中にお金を供給する。しかも今まで対象でなかった長期国債(10年物)やもっと長い超長期国債(20年以上)まで買う。社債も買う、ETFも買う、REITも買う。子供になんでも買ってあげちゃう大富豪の過保護な親みたいなものです。

 

そうなると日銀によって国債が吸い上げられてしますのでどんどん金利が下がります。これわかりますかね?日銀が午前中に「はーい。今日は10年国債買いますよ~」とアナウンスし、昼休み時間中に各銀行はどれ位の金額をいくら位の値段で売りたいのかを申告(札入れ)します。そして価格の低い順(利回りの高い順)から日銀がその日買えるお腹いっぱいのところまでの金額を買うのです(銀行にとっては売れるのです)。しかもそれは月一回とかのレベルでなく、週に何度もやってくれるので銀行からすれば「金利は低いけど日銀が買ってくれるから今よりは高く売れそうだな。よし買っておこう。」となります。銀行も日銀が買ってくれるから買う。そして日銀も買う。こんなスパイラルでどんどん金利は下がっていきました。(証券マンは大丈夫と思いますが、債券価格が上がることは金利が下がることを意味します。)

 

そして金利が短期金利は0%近辺になってしまい、これ以上下がりようがなくなってしまったので、2016年にまた頑張ってしまいます。短期金利はマイナス金利の導入し長期金利にもターゲット決めてしまったのです。これをイールドカーブコントロールといいます。

短期金利:日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%のマイナス金利を適用

長期金利:10年物国債金利が概ねゼロ%程度をターゲットとして適用

これってすごいことですよ。株で「日経平均が40,000円になるまでETFを買い続けるよ」と言っているも同然です。もちろん日銀は金融政策により「物価の安定」を目標としているのでさすがにETFに目標株価のターゲットは置くわけないですけどね。

 

こうなると「債券」がマーケットで持っていた機能をほぼ失われたといえます。

債券の持つ機能とは「株式のリスクを軽減させること」です。

新人の頃、皆さんも教えられたと思います。

「金利が上がれば株は下がる。金利が下がれば株は上がる。」

債券と株式の2大市場はそれぞれに魅力があり密接に絡んでいました。投資家はそれぞれの持つリスクリターンや相場の方向性を考えながら、

「株が熱狂しすぎているから債券に移しておこう。」

「債券の利回りが低下しすぎだから魅力もないし株式にしよう。」

などと考えてポートフォリオの配分を変更していました。ですから債券の値動きは株式と逆相関のためリスク分散として使えたのです。

 

ただ忘れてはいけないのは債券にもリスクがあること。債券というのは利回り商品であるだけに価格上昇には限界があり、金利がゼロ近辺なのでその限界点に近づきすぎてしまっているのは誰しもがわかると思います。加えてこんな限界点近くまで金利が下がると金利が上がってしまった時のリスクが半端ありません。

例えば現在日本の40年物国債の利回りは0.65%位で、利率が0.5%なので単価95円位ですが、急に日銀が「緩和やめるわ」と言って利回りが2.5%になってしまったらその保有国債は一瞬で単価が60円位になってしまいます。大きな含み損になりますね。

もちろん満期まで持っていれば元本は返ってきますが40年間もっともらえるはずの機会を失います。40年金利2.5%なんてつい10年前の低金利だといわれていた時代でも当たり前の水準でした。

つまり、今債券に手を出すのは満期保有を前提としなければ大きなリスクがあるということです。こんな状況で一般投資家が「債券」へ目を向けるわけがありません。このマーケットは死んでいるのも同然です。今債券を買えるのはあくまでも日銀に国債を買ってもらえる金融機関や債券で運用しなければいけないと設定されている投信やファンド位でしょう。ですから私は今債券投資には見向きもしません。

 

しかも今は日本だけでなく米国も欧州も今まで日本の投資家に人気のあったオーストラリアやニュージーランドだってかつてないような低金利となっています。しかも限界近くまで下げてしまった金利を上げていくのは簡単ではありません。なぜなら実態経済へ与える影響は金利を上げる時の方が十分に気をつけなければいけないからです。

コロナの影響を受けて各中央銀行は経済活動が正常に戻るまでは簡単に金利を上げるようなことは出来ないでしょう。米国の中央銀行であるFRBも少なくとも2024年までは金融緩和はやめられないだろうと言っています。そんな中で日銀は世界に率先して金融緩和をやめることは極めて難しいですね。

したがって、投資家は債券市場の現状や当面の状況を予測しながら今後の投資方針を検討していかなればならない。しかも当面の状況は予測しやすいということです。

 

まとめますと、

・現在の債券相場は官製バブル。金利はもう限界まで下がっている。

・金利低下時の債券投資はリスクが高い。特に長い期間のもの。

・この債券バブルは今後数年は続くことが予想される。

・これらを前提にして投資家は投資方針を検討しなければいけない。

ということです。何が言いたいかわかりますよね。ブログタイトルにつながりますが、

それはまた改めて。では。

 

投資は自己責任で!