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投資はメンタルスポーツ -あなたの意思はどのように決まるか-

今日は心理と投資を結びつけた話をします。

 

投資家の皆様には、損切りをなかなか出来ずに塩漬けの株ばかりが残ってしまったり、少し利益が出ると今売っておかなきゃと慌てて売ってしまう経験ありませんか?そしてその後株価はさらに上がって後悔する。よくあることではないでしょうか。

 

私が「投資はメンタルスポーツ、格闘技です」と申し上げるのはこういうところからです。リターンの大小は結局、人間の心理によって左右される部分が結構大きいと感じています。

 

そして、これはアメリカの認知心理学者ダニエル・カーネマン氏というノーベル経済学賞を受賞した超大物が「プロスペクト理論」で明らかにしています。いわゆる行動ファイナンスや行動経済学の分野です。聞かれたことありますかね。

この方はファイナンス分野で辺り前のように使われる「期待効用理論」を真っ向から批判していて、これはこれで私としてはとても興味深い話です。(このあたりはさらっと流してください。)

 

「プロスペクト理論」を簡単に説明すると、

『投資家は収益よりも損失の方に敏感に反応し、収益が出ている場合は損失回避的な利益確定に走りやすい。一方、損失が出ている場合はそれを取り戻そうとしてより大きなリスクを取るような投資判断を行いやすいとされる。』ということ。

これはまさに冒頭の投資家が取っている行動。ただこれは投資家が取った行動を分析しただけのような話ですよね。

 

 

そこでカーネマンの理論をさらに掘り下げて説明します。

■人間の思考システム

人間の思考はシステム1「ファスト」システム2「スロー」という2つのシステムが働いていて、それらは以下のような特徴を持っています。


システム1=「ファスト」

これは大昔から人間にデフォルト設定されている直感的な思考システムで、自動的に瞬時に物事を判断する。このシステムを動かすことには努力をほとんど要しないものです。ただし難解な問題については対応が難しい。

例えば「マスクをしていない人間が近づいてきたから、避ける」とかですね。これは熟慮していませんよね。

 

システム2=「スロー」

こちらは熟考する思考システムで、普段は省エネモードで運転していてあまり使われていないのですが、システム1「ファスト」が困難に遭遇すると働き出すものです。基本的に怠けものでこのシステムを動かすためには労力を要します。

 例えば「コロナで在宅勤務が多いから、引っ越そうかな」と考える時。これは熟慮しますね。

 

つまり日常生活で何もない場面での思考や行動にはシステム1「ファスト」が行っていて、何か困難が発生すると、システム2「スロー」が主導権を奪って意思決定を行うようになります。そしてシステム2は「スロー」、システム1「ファスト」の決定をチェック機能をもっています

 

そしてシステム1「ファスト」常に合理的とは限りません。助かりたいという直感から作動してしまうものです。嫌なものから避けたいという感覚でしょうか。「損が怖いから早くこのドキドキから逃げたい」というイメージです。一方のシステム2「スロー」では物事を合理的に考えられます。

 

つまり投資でリターンを得るにはシステム2「スロー」を使って合理的に考えなければならない、ということです。

直感的に損切を素早く行い稼いでいるデイトレの方も多いでしょう。でもそれは「損切が遅いと危ない」ことを合理的に理解していて、システム2「スロー」がシステム1「ファスト」のチェックする機能が出来ている方なのでしょう。

 

こういう私も相当な「ファスト」派でした。「スロー」がいつも怠けているのでこれを動かすのにいつも苦労します。これは人間が太古の昔、猛獣から逃げたりしなければ生きていけなかった時代からの遺伝みたいなものなので仕方ないですけどね。

 

もっと詳しく知りたい方は下記をご参照ください。

学者と聞くと難解な本をイメージされるかもしれないが、平易に書かれており、かつ具体例が多くてイメージしやすいかと思います。

前編では、人間の思考システムなどの心理学的要素が中心で、後編では今日申し上げた「プロスペクト理論」などの経済学の領域の説明になります。

 

では今日はこの辺で。

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