株価上昇を「バブル」と言うのは今までの物差しで測ろうとするから。だから専門家達は間違える。
今日は文字ばかりになります。すみません。
NYダウ3万ドル突破。日経平均は29年ぶりの高値と聞くと確かに違和感を感じるかもしれません。世の中の論評はこれを「バブルだ。バブルだ。」と騒ぎ立てる。証券会社の専門家も学者もだいたいそう。
頭のいいこの方達は過去のことを一生懸命しらべて論文書いたりレポート書いたりしますよね。それで自分の磨きのかかった物差しに自信を持つのです。そして過去を分析するためのいい物差しをもっている方ほど評価される。さらに評価される方ほどTV等に出やすい。そんな流れで目に付くのでしょう。
でもこう問いたい「その物差しで相場の未来を当てたことあるのですか?」と。
株価というのは未来の動きを先どりして形成されるもの。現状から未来を予測するならまだわかりますが、過去こうなったから未来はこうなるという論評は、競馬の予想屋が過去のレースでこんな走りをしたから今回どうだと言っていることと変わりません。
世の中に起きてることは常にはじめてのこと。過去とまったく同じことなどありません。過去の物差しで未来を図ることなど本来意味のないことなのです。だから私は過去と照らし合わせて株を買うことなどありません。
この株高を私は当然だと思っています。理由は以下のことからです。
その頭の良い方達に、分析が得意だったら例えば以下のことをきちんと調べて発表しろと言いたい。
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①世の中のお金の量が桁違い。マネーは投資先を探している。
②本来、株価は右肩あがりになるべき。なぜなら企業価値は赤字が毎年続かない限り上がり続けるから。
③私達が売買しているのはその国の経済そのものではなく、ほんの一部の優良企業の株
であること
⓸そもそもバブルの定義って何だ?優れた物差しを持っているなら過去と比較しなさい。
⑤こんなに「バブル論者」が多いなら株高はまだまだ続く。
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①世の中のお金の量が桁違い。マネーは投資先を探している。
今は世界中の中央銀行が金融緩和をしています。これは米国、日本、EUだけでなく新興国も含めてどこもかしこもです。こんな世界中全緩和の時代なんて過去に例がありません。専門家だったら、世界中の緩和マネーの量、個人資産や投資マネーの量を調べなさい。
しかも過去と全く違うのは世界的に投資先として債券はその役目を失っているのです。これを「債券と株価のバランスを考えたら株価は行き過ぎだ」という専門家もよく見ますが、「大丈夫?」と思います。債券は株と違って上値に限界があるから債券の方が行き過ぎているということ。株が上がっても金利が上がないのは当然。中央銀行が買うとわかっているのだから緩和をやめるそぶりを見せない限り金利が大きく上がることはないですよね。
投資はリターンを得るために行うもの。リターンのない債券なんて買うわけがない。だったら基本的に株や不動産位ですよ。金や原油の商品やビットコインはリターンの源泉となる利益配当を生み出しませんからね。
巨大な債券市場に流れていたマネーが行き場を失っているにも関わらず、さらに金融緩和でもっとお金を貰っていて困っているのです。
②本来、株価は右肩あがりになるべき。なぜなら企業価値は赤字が毎年続かない限り上がり続けるから。
株価は業績に収れんするとも良く言われます。確かに多少の相関性はあるかもしれません。しかしそれは心理的な要因から動くのでしょう。例えば業績が下がりそうだったら売っておこうとする心理が働くから。
でも根本的なことを言えば私達が売買しているものは「企業価値」です。1億円の純資産価値があれば1億円で買えればPBR1倍で買えることになります。その会社がその年純利益が1億円上がれば純資産価値は2億円になりますし、100万円だったら1億100万円になりますよね。利益の大小はあれども赤字でなければ純資産価値は上がるのです。つまり適正評価をされ続けるのであれば株価というのは本来上がり続けるのです。
今期の上場企業の決算見込みは30数%の減益予想ですが、赤字になる一部企業はあれども全体では利益は出ます。ですから企業価値が増えるのは当然のこと。株価が上がっても何もおかしくないのです。
日本株が長らく評価されなかったのは、過去のバブルが本当にバブルだったからであり、その価値の調整と投資マネーが日本に見向きもしなかったからです。今より断然少ない投資マネーしかなければ上がりそうな市場に流れて当然です。
③私達が売買しているのはその国の経済そのものではなく、ほんの一部の優良企業の株
であること
バフェット指数といってその国の名目GDPと株価は連動するという指標を使う方もたまにいますね。これもおかしい。そもそも私達が売買しているのは国全体の経済ではなく一部の優良企業の株です。
日本には400万社の会社があると言われていますが、そのうち上場しているのはわずか4,000社ですよね。0.1%の優良企業の話です。
私達が実態経済として感じているのはコロナの影響を多く受けている400万社の方ですよね。もちろん上場会社にも外食や航空などコロナ影響を大きく受けている会社はありますが、大半ではありません。しかもコロナをきっかけに伸びている企業も多いですよ。「実体経済と株価が違う」と感じるのは普通の感覚で当然です。感じて当然ですが、「実体経済と株価が違うこともある」ことを理解しておいた方がよいということです。
加えて言うならバフェット指数で使っている名目GDPって国内総生産ですよね。グローバル生産が進んでいるこの時代にその指標を使うこともどうかと思いますが。
⓸そもそもバブルって何か?優れた物差しを持っているなら過去と比較しなさい。
バブルを語るのならバブルの定義を定量的にしなさい、と言いたい。ちなみに下表は過去記事の再掲ですが、1980年代のバブル期と最近の各指標の比較です。
②で企業価値は右肩あがりで増える話をしましたが、下表を見ていただければわかるようにバブル時のPBRは5.6倍ですよ。
これはバブルと言って当然。本来1億円の価値のものが5.6億円で買われているのですから、将来の増益を期待していたとしても高すぎる。異常な値段がついていたゴルフ会員権と一緒です。
それに比べたら今は当然リーズナブル。配当利回りを見てもわかりますよね。しつこい位にいいますが、今は超低金利だから配当貰っている方がいいですよね。
⑤こんなに「バブル論者」が多いなら株高はまだまだ続く。
日本の1980年代のバブルも、リーマンショックも誰もがその状況が続くだろうと思って疑わない時こそバブルであり、その反動がショックとして起きるものです。こんなに「バブル論者」が多いなら当然株高は続いて当然。こちらも過去記事で書きましたが、
「強気相場は、悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」の相場格言で言ったらまだまだ「懐疑の中で育っている」ステージということです。この記事で2万5000円が上値と言っていた専門家は今どうしているのだろう。まあこの方だけでなく多くの専門家が外していますけどね。
別に私は投資を勧める立場の人間ではないので、「上がるから買え」と押し付けるわけではないですし、手数料を得ているわけでもないです。もし下がりそうと思うならここにそう書きます。
でもこんなにわかりやすい環境はアベノミクス相場当初以来ですからね。しかも今回は全世界的規模ですから。
ですから専門家は自分の得意とする一分野とその物差しだけでなく、もっと大きく森を見て判断してほしいなと。しかも感覚的でなく定量的な分析も交えて責任もって論じろと。そうでないとただ不安をあおっているだけで投資を始めたばかりの方々を惑わすだけだけ。あなたの発言を聞いて不安になって売ってしまって得られたかもしれない利益損失もあるかもしれない。無責任にバブルと論じるなと言いたい。よろしくお願いしますよ。
少し熱くなりましたが、今日はこの辺で失礼いたします。
投資は自己責任で!