ツイッターもやっています → @prokabu1

金利が上がると為替は?

今日のNY市場ではFOMCがありましたね。

大統領選挙に注目が集まり、かつ無風予想でしたので今日のFOMCの注目度は低かったですが、本来は非常に注目度の高いイベントです。

内容的には、現在はコロナ禍で経済が落ち込んでいることから、FRBはゼロ金利政策などの大規模な金融緩和策を行っており、今回のFRBでもそれを維持することを決めました。

 

このFOMCはアメリカの中央銀行であるFRB(The Federal Reserve Boardの略)が行う、FOMC(Federal Open Market Committee(連邦公開市場委員会)の略で、アメリカの金融政策を決定する会合のことです。

FOMCは年に8回開催され、現在の景況判断追加緩和の方向性や政策金利(FF金利)の上げ下げなどの方針が発表されます。

この結果は世界の株式市場や為替が大きく変動することがあり、世界の金融マーケットにも大きな影響を与えることがあります。

 

主に金利の上げ下げの話ですから、本来、債券市場(金利市場)が主体的に影響を受けやすいのですが、何度も申しあげているようにこの「金利」といのは、株式市場や為替市場大きな影響を与えます。

特に投資を始めたばかりの方にはこの債券市場(金利市場)についてまだあまりご存じない方もいらっしゃると思うのですでぜひよく見ていただきたいと思います。

 

以前の記事でも書きましたが、本来、債券と株式というのは逆相関の動きがあります。

「金利が上がれば株は下がる。金利が下がれば株は上がる。」

債券と株式の2大市場はそれぞれに魅力があり密接に絡んでいました。投資家はそれぞれの持つリスクリターンや相場の方向性を考えながら、

「株が熱狂しすぎているから債券に移しておこう。」

「債券の利回りが低下しすぎだから魅力もないし株式にしよう。」

というものです。今は世界的に超低金利で行き過ぎているのでこの作用が働きにくい状況ではあります。

 

また、FOMCではこれらのゼロ金利政策を少なくとも2023年末まで継続するという見通しを示しているように、先の見通しまで明示することを「フォワードガイダンス」といいます。

このフォーワードガイダンスがとても重要で、「3年先まで金利を上げないよ」と言っているので、「3年先まで債券は魅力がないよ≒(3年先までは株式の方が魅力かもしれないよ)」と言っているようなものなのです。

 

私が2022年に日経平均は4万円を超えると思っているのは、この債券・金利がしばらく魅力がないことが一番の理由です。

マーケットは常に先へ先へ行きたがりますからフォーワードガイダンスはとても大きな意味を持ちます。もしFRBが2023年末ではなく2021年末と言っているのならそこまで強くなれません。

 

また債券(金利)市場為替市場にも影響を与えますFOMCもありましたし、為替の動きも気になるので、今日はここを少しだけ勉強しましょう。

 

まず日米の2国間の金利だけを想定します。

一般的な感覚としては債券投資家は信用力が変わらなければより金利の高い方が魅力的に見えますよね。米国金利が上がればそちらにお金が向かいたがる。

つまり円を売ってドルを買う⇒ 円安になる。という感覚です。

もちろん、そんな風に動く時もあります。ただ為替というのは金利差だけで動いているわけではないので実際のところそうなのかわかりにくいです。

 

そして、上述した米ドルの金利が上がったから円からドルににお金が向かって=円安になるという感覚は、ファイナンスの世界ではまったく反対になってしまいます。

 

例えば、投資家が100万円を持っていて、
ドル/円レート(為替レート)が1ドル=100円で、日本の1年金利が1%米国の1年金利が5%としましょう。

①今の100万円を円で運用したとすると1年後には101万円になりますね(税金は無視します)。

②しかし円を売ってドルを買い、ドルで運用するとします。
そうすると1万ドルを5%で運用することになるので、1年後は1万500ドルになりますね。大丈夫ですか?

ここでもし1年後のドル/円レート為替レートが100円のままだったらドルで運用した方がいいですよね。

ですから1年後の101万円と1万500ドルは理論的に等しくなるべきだという考えが生まれます。

つまり、

③ドル/円レート(為替レート)1年後の為替は理論的には

1ドル=1,010,000/10,500≒96.19円がであるべきだということです。

 

このどの通貨で資産を保有しても収益率が同じになるように為替レートが定まると考えることを金利平価説といいます。

 

銀行や企業間に将来の一時点の為替の売買で使う為替レートはこの金利差や売買のコストを考慮して決定されますが、この将来の為替のことをフォワードレートと呼びます。

証券マンの方ならこのフォーワード為替をつかった仕組債を販売したことがあるかもしれませんね。

 

ただ今は世界的には低金利です。米国債の金利も10年債金利は3-4%位はありましたが今は0.7%ですし、日本国債の10年債金利は1.0%程度が今は0.04%程度です。

つまり2-3%あった金利差は今は0.6-0.7%程度に縮小していますから、理論上のフォーワード為替は以前よりは円高になりにくくなっているということです。

 

勿論為替レートは金利差だけで動くものでもありませんし、直観的に金利が高い米国債へお金を移す動き出て円安に動くこともあるでしょう。

従って、これを言ったら元も子もありませんが、為替を金利平価説だけで考えるのはやめましょうということです。ただビジネス上の為替取引では当たり前のように使われるものでありますので頭にはいれておいて下さい。

 

では今日はこの辺で。

投資は自己責任で!

f:id:pro-kabu:20201106072549j:plain