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中途採用の問題点

とある中途採用の話。

 

あるオーナー社長が一次面接から社長自らやっていらして、そこでバサバサやっている。迷った時にはじめて現場に振るらしい。

「え、逆じゃないの」と感じたもののそれは言わずに、

「そんな時間よくありますね」との問いに対して、

「下に任せるといい人集まらないんですよ。だから土日で自分でやることが多いですよ。その方が絶対いい人取れますから」と仰る。

その時は「そんなものか?」と思い、ただ受け流していたものの、なんとなく気になっていて、ふと思い出したので、人事担当のところに行って「最近どんな人きているのか見せて」と伝え、応募書類を眺めてみた。うちからすればそれなりの人も中には混ざっていそうな雰囲気ではあるものの、一次面接で落ちていたりしている。実際にお会いしていないのでなんとも判断はつかないのだが。

もちろん大きい会社ではないのため、課長や部長レベルの採用であれば、部長→社長の2回の面接がほとんどであるし、スタッフの採用であれば課長→部長で終わらせているので社長の出番は無い。

 

そこで人事に「不採用になった人でも回答を返さないで、一回持ってきて」と伝えて、しばらくしたある日、管理系のスタッフ人材で一次面接で落ちた人の応募書類を持ってきた。

コメント欄には「質問の内容に的外れの回答をする等、コミュニケーションに問題あり。反応が遅くスピード感が無いのがネック。」等の不採用が理由が綴られていた。前職の経歴も悪くないし、簿記の資格も保有されていて小さい会社にしてみればまあまあの人材のような気がするが。

そこで人事には「こうは書いてあるけどちょっと会ってみたいから一次は通して二次はこちらでやるから」と言ってその方と会ってみることにした。これは1次面接の担当者には伝えていない。

 

そして当日その方と会って見ると、まあ若干おっとりしている印象は受けるものの、そこまで気になるレベルではない。それよりも、よくよく聞けばやってきた内容は担当者の課長レベルの知識はありそうだとうことは間違いないことが分かった。うちの経理には任せていない経理の数字から経営数値の分析をする経験もあるとのこと。

ただ部の問題にもなるので至急部長も入れて三者面談になったが、そして部長も太鼓判を押した。

 

つまりはこうだ。

担当課長は課員を補充したくて募集をかけていたものの自分のレベル以上の人が来ると自分のポジションが危うくなるリスクがあるから不採用にしたということなのだろう。課長で止めているから当然部長も会っていない。

 

こういう風に埋もれてしまった人材はどれほどいるのだろう。

面接の流れの組み立ては問題ないと指示した手前、課長にこのことを直接注意することはしていない。それは課長の視点や判断もあるだろうから、任せているとした以上言ってはいけないことだし、後々の影響もあるからだ。その分、部長に若干だが釘を刺しつつ、その方の採用を決めた。

 

現在、その方はメキメキと頭角を表しており、準リーダー格に育ちつつある。

 

だが思う。これはうちだけの問題ではないかもしれない。世の中にはもっともっと人材が埋もれているのかもしれない。

 

自分を脅かしかねない存在を否定したい気持ちは、人間であるから当然仕方ない。

それは自分を守りたいという人間の本能だからだ。

 

そして、あのオーナー社長の言葉を思い出した。

「下に任せるといい人集まらないんですよ。だから土日で自分でやることが多いですよ。その方が絶対いい人取れますから」

 

これは間違いないと確信し、土曜のゴルフは諦めることに決めた。

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